深まりゆく秋、兄と弟と私で、郷里の地に行って参りました。
懐かしい風景を見詰めながら、幼い頃の三人の姿が浮かび上がります。
実家の跡地は、木々や草が生い茂り、面影を失っておりました。
そんな中でも走馬灯に浮かぶ幼少期の想い出が甦ります。
兄と弟と遊んだ、裏藪の中。ターザンごっこや、その木々の下で遊んだ缶けり…
苅田の中での戦争ごっこ。
泣いて笑ってケンカして…本当にくったくのない三人の姿が浮かび上がりました。
脳裏に浮かぶそんな情景は私だけでなく、兄も弟も感じていたことと思います。
山深い中で育った私達には、今の生活から想像出来ない生活環境でした。
当時は全てが自給自足のような内容でした。
遊びも木々や草花、動物達。 自然がお友だちでした。
楽しみや喜びはいつも私達の手のひらにあったように思います。
そして、両親の愛も。
父の叱咤や母の取りなし…ケンカしても、悪さをしても、両親のバランスの良い愛情に内包され深い愛に支えられて育ちました。
私達子供に与えてくれていたのは、外側の強制的なものは全くなく、心の自由を与えてくれていたように思います。
様々な想いを見詰めながら…
当時の面影がなくなった実家の跡地に、三人で感謝のお祈りをし、お墓にお参りをして帰って参りました。
その後、大人になって初めて三人で、お昼の食事をとりました。
私は胸が熱くなり涙が止まりませんでした。
兄と弟の真ん中で育ち、今更ながら二人の間で見守られていたのだと感じ、兄と弟の語らずとも感じる愛情に触れました。
ふるさと
私の大好きな歌は、「ふるさと」。思わず心の中で、口ずさんでおりました。
『~志しを果たしていつの日にか帰らん~』
私の胸の内の志し…新しい出発を胸に
私を育ててくれた、ふるさとの空と大地
そして、人生を出発する根っこを育ててくれた父母の愛、兄弟の愛に心からの感謝をおくりました。
2017年、この深まりゆく秋は、私の心の新しい出発になりました。
合掌
