桜の季節に母は旅立ちました。
3年前の4月2日、施設に到着した私に「館内に響きわたる声で……『久美子~!』と呼んでいました。本当に驚きました。痩せた細い体から、大きな声を発して久美子さんを呼んでいましたよ」と、スタッフさんが伝えて下さり、その後、義姉が私の手をしっかりと握りしめ母のところまで駆け足で……。
横たわる母はまさに旅立つ瞬間でした。母の手を握って間もなくの事でした。
呼吸が遠退く感覚が伝わり母の細くなった首もとに手をあてながら、母の最期の温もりを感じとる事ができました。
お別れに……待っていてくれた……。
手をしっかり握りながら、旅立つ母に「今迄、育ててくれてありがとう。」
言葉にならない精一杯の想いを伝え……息を引き取るその瞬間まで母を感じさせてもらいました。そして、私の目から涙がこぼれ落ちたとき……。今世のお別れになりました。
母との別れの瞬間、
「この1ヶ月、仕事終わりに、毎日毎日、母に会いに足を運んでいたのに……もう、母に会えなくなってしまった!」心の中で、そう叫んでいました。
出逢いがあれば、必ず別れがあります。人生はなんなんだろう? 生まれてくるとはどんな意味があるんだろう? そんな事を母にたずねた事がありました。
母から貰った言葉は、誰にも語らず、私の胸に大切に残してあります。
意識を無くす少し前の母から出た言葉は、「みんな仲良くね」…
私は、このシンプルな言葉を遺言とし大切にしています。
人生は難しくないのです。
人生はシンプル。
人と、物と、動植物と、大自然と仲良くすればよいことだけ。
それを難しくしているのは人間だけ。
「そんなこと言っても……」そんな言葉に繋がりそうですが、難しくすることなんてない……!そう思います。
水が全てを洗い流すように
決意して、洗い流せば良い……。
パーと咲いて、パーと散る潔い桜のように。そして、又、、、時が訪れたら咲く桜。
葬儀の日
母は、満開の桜に見送られて優しい煙となって旅立っていきました。
あれから三年……
夢にはほとんど出てきてくれませんが、私の内側にいつも母がいます。「みんな仲良くね」の言葉を大切にしながら。。。
そして潔さは育ってきているような氣がします。
誰もが迎える旅立ち
人生の旅立ち……
二度とない【今】この瞬間を楽しみながら……。
( ^-^)ノ∠※。.:*:・’°☆
